最終報告会の様子と社会的インパクト評価

最終報告会の様子と社会的インパクト評価

最終報告会の様子

コロナ過におけるオンライン学習会実施報告書
2021年3月16日(火)株式会社内田洋行様の配信会場をご提供いただき、オンラインにて配信報告会を行いました。年度末にも関わらず、約70名にご参加いただきました。メディアや実際の学習塾を運営している方など、オンライン学習会への関心の高さが伺えました。

当団体の二つの拠点長から、オンライン学習支援の現場の話と、実際の学習会の様子や生徒のインタビュー動画を参加者の方に見ていただきました。

また、通常の学習会とオンライン学習支援をリサーチし数値的根拠をまとめオンライン学習会の社会的インパクトについてご報告させていただきました。
  • インタビュー動画閲覧風景1
  • インタビュー動画閲覧風景2
  • インタビュー動画閲覧風景3
≪参加者の感想≫
●置かれている環境もさまざまである子供たちに寄り添い、必要とされている支援を行っていらっしゃることが 理解でき、大変勉強になりました。

●学習支援の内容も大変素晴らしかったですし、報告やインタビューを織り交ぜて進行されたような配信の技術 も素晴らしかったです。本当にありがとうございました。

●コロナ禍においても、貴団体が、子供たちの支援のために、創意工夫して新しい取り組みにチャレンジし、成 果をあげられていることを知り、素晴らしい取り組みだと思いました。また、具体的にどのような取り組みを されているのかを知ることができて、大変参考になりました。

社会的インパクト評価

アレックスベンカート
アレックス ベンカート
特定非営利活動法人キッズドア チーフコーディネーター・R&D部室長
キッズドアにて無料学習会の運営に努め、英語に特化した事業「English Drive」を担当。それに加えて、Research & Development部の室長として、社会的インパクトマネジメントや評価を通して事業の改善・マネジメント支援を担当。
サセックス大学大学院(M.A. in Social Development)卒。准認定ファンドレイザー
ホールドストック 絵里花
ホールドストック 絵里花
ブリガムヤング大学
MPA(Master of Public Administration)パブリックセクター・データアナリスト
上智大学総合グローバル学部卒業後、パグリックセクターにおけるマネージメントを学ぶために渡米し、ブリガムヤング大学大学院に入学。大学院在学中、複数のローカルNPOと共同プロジェクトを行い、データ分析を中心にプログラム・エバリュエーション面でのサポートを行う。
現在は、Universal Development Evaluation Projectのプログラミングを担当し、国際開発系NPOを支援。
 キッズドアでは、居場所・学習会の質を保つために「社会的インパクト・マネジメント」を取り入れ、子どもの現場での経験または学習意欲、学習習慣の変化を定期的に調査しています。
今回、新規のオンライン学習会は対面学習会と同じ基準で評価し、オンラインで参加している子どもは対面で参加している子どもと同じレベルで歓迎感、個別学習支援、進路相談を得ているかを確認しました。
ブリガムヤング大学MPA(Master of Public Administration)大学院在学中のホールドストック 絵里花さんから統計解析していただいて、生徒の学年、性別、KD参加年数、親からの学習サポート有無に影響されていないと言える相関を確証できました。
下記の3点です。
  1. 生徒の生の声によるとオンライン学習会の満足度が高い。
  2. オンライン学習会は通常学習会と同じクオリティーの将来・進路相談、歓迎感、学習支援ができている。オンライン学習会の参加は「歓迎されること」、「進学について相談できること」、「将来について相談できること」、「分かりやすく教えてもらうこと」と相関関係がありません。
  3. オンライン学習会に参加している生徒の方が情報を得ている。オンライン学習会の参加頻度は「ゲストスピーカーの話を聞くこと」、「進路についての情報を得ること」、「仕事について情報を得ること」、「奨学金について情報を得ること」と正の相関がありました。

KD ロジックモデル&評価

特定非営利活動法人キッズドア 居場所・学習会ロジックモデル 2020年度
 これはキッズドアの居場所、学習会のロジックモデルです。効果的な子ども支援を行うためにどのような活動を、どのようなプロセスで行うかを可視化できるツールです。いわゆる「社会的インパクト評価」のロードマップになりますが、社会的インパクト評価の目標は点数付けではなく、活動の改善です。

 キッズドアの居場所、学習会の現場で行っていること(活動)から最終的に子どもたちに身につけたい成長(最終的アウトカム)に至るまでの因果関係を描いており、各項目のはかることができる指標を作成しました。その指標で既存事業の改善に取り組むこともでき、キッズドアのミッションや事業のクオリティーを守りながら、オンライン学習会のような新事業に挑戦することもできます。

 今回のオンライン学習会は、通常学習会と形態が大きく変わっていますが同じキッズドア学習会になるように取り組むことができたのは、ロジックモデルがあるからです。本調査分析に使用したデータは、2020年10月にキッズドアにより実施されたアンケートをベースに作成されており、51の質問に対し、合計593の回答が含まれています。尚、こちらのレポートの分析単位は、個人の回答となっています。

 オンライン学習会の参加頻度とインパクトの大きさに相関関係があるかどうかを調査する為、10の定量データ分析モデルとともに定性データ分析モデルが用いられました。

調査結果は以下となります。

想定結果について

❶ 生徒の生の声によるとオンライン学習会の満足度が高い。
生徒アンケートの自由欄の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現頻度や今日出現の相関などを解析することで、有用な情報を取り出す分析方法です。キッズドアによって実施されたアンケートの最後のコメント欄から抽出した情報を使用しました。グラフ1・2を見ると、「ありがとう」、「いつも」、「教えてくれて」、「分かるまで」が頻繁に出現したことが分かります。
頻出単語
頻出チャート
❷ 定量的結果:通常学習会と同じクオリティーの支援ができている
キッズドアの対面学習会はレベルの高い交流、個別学習支援、進路相談を提供しています。オンラインになるとクオリティーが下がる恐れがありました、本調査の結果によるとそうでもないと分かりました。生徒の学年、性別、プログラム参加期間、親からの学習サポートの有無をコントロールした後も、オンライン授業参加頻度と生徒の「歓迎されること」、「進学について相談できること」、「将来について相談できること」、「分かりやすく教えてもらうこと」との間には、相関関係がないことが分かりました。
つまり、オンライン学習会は通常学習会と同じクオリティーの交流、個別学習支援、進路相談が提供されているということです。
❸ オンライン学習会の方が、進路に必要な情報入手とつながる
生徒の学年、性別、プログラム参加期間、親からの学習サポートの有無をコントロールした後も、オンライン授業参加頻度と就職情報満足度との間に、「進路についての情報入手」、「仕事について情報入手」、「奨学金について情報入手」と正の相関がありました。
また、オンライン授業参加頻度のが高くなるごとに、生徒の情報入手も増加すること確証しました。
つまり、オンライン学習会では通常学習会より進路に必要な情報が届いているということです。
  • オンライン授業参加頻度と就職情報満足度との間に、正の関係があることが分かりました。また、オンライン授業参加頻度のレベルが増加するごとに、生徒の就職情報満足度のレベルが 1.43増加する(z= 3.15 , p= 0.0016)ことがわかりました。
    決定係数0.0195は、1.9475パーセントのバリエーションが説明可能であることを示しています。
  • オンライン授業参加頻度と奨学金情報満足度との間に、正の関係があることが分かりました。また、オンライン授業参加頻度のレベルが増加するごとに、生徒の奨学金情報満足度のレベルが1.56増加する(z= 4.01, p= 1e-04)ことがわかりました。
    決定係数0.0787は、7.8717パーセントのバリエーションが説明可能であることを示しています。
  • オンライン授業参加頻度と奨学金情報満足度との間に、正の関係があることが分かりました。また、オンライン授業参加頻度のレベルが増加するごとに、生徒の奨学金情報満足度のレベルが1.56増加す(z= 4.01, p= 1e-04)ことがわかりました。
    決定係数0.0787は、7.8717パーセントのバリエーションが説明可能であることを示しています。
 社会貢献と地域コミュニティーへの貢献活動は、マイケル・ブルームバーグが会社を設立した当初から、ブルームバーグの企業文化に不可欠な要素でした。ブルームバーグの社会貢献活動のミッションは、私たちが生活し、働いている地域に恩返しをすることであり、 ブルームバーグの社員の時間と能力、会社の持つリソースを活用して、永続的に良い影響を生み出すことです。
 教育は、私たちの社会貢献活動の主要な柱のひとつです。学生一人ひとりへのメンタリングを通して、学業の達成とキャリアの成功のためのサポートを提供し、モチベーションをあげることで、次世代リーダーの育成を目指しています。NPO法人キッズドアは、長年にわたる私たちの重要なパートナーです。全国の才能にあふれる若者を支援するために、ともに「English Drive」プロジェクトを開始できることを誇りに思います。

フィオナ・キム
ブルームバーグ LP
コーポレート・フィランソロピー担当
Bloomber
コロナ過でのオンライン学習会~子どもの未来応援基金~